2006-01-01から1ヶ月間の記事一覧
時と場所を選ばす,突如,現出するミサイルのごとき飛行物体。 低空を緩慢な速度でまっすぐに進行し,あるときは一時間,あるときは一日,不特定の時間と不特定の距離を航行し,現れた時と同様に,いきなり消失する。 そして,時に爆発し,半径2マイルに及…
アラバマ州南部,州間高速道路沿いの辺鄙な場所に見える看板―<ビッグ・ボブの店!給油とお食事>。 その晩は,トルネード警報が出ており,雨がたたきつけ,雷鳴が轟く,大荒れの天候。 主人のボビーとウェイトレスのシェリル,常連のアラバマ警察のデニス,…
主人公の,ベネディクトは,生真面目で小心な青年。 生意気な,またいとこのランドルフへのお土産にと,ベネディクトが玩具店で買い求めたのは,「ベンガルの猛虎」という名の,虎のおもちゃであった。 おもちゃといっても,鋼鉄のスプリングを内蔵し,躍動…
パパに言われて,ぼくは余分の空気を一杯取りにいった。バケツがほぼいっぱいになるまですくいいれ,指がそろそろかじかみかけたとき,それが見えたのだ。
なぜ地球が,他星系の知的種族の訪問を受けた形跡がないのか。人類は孤独の存在なのか。
遥かな未来,月の引力により,自転が止まった地球は,植物の支配する世界となっていた。陸地は,結合し巨大化したベンガル・ボダイジュが覆いつくし,奇怪な数限りない寄生植物,捕食植物が,跳梁する。樹上には,さらに驚くべき世界が広がる。ツナワタリと…
作者は,「悪魔の辞典」のアンブローズ・ビアス。数ある短編の中でも,際立って異様な作品が,この「犬油」である。主人公の父親は,大釜で犬を煮て,その油を採取することを生業としている。こんな不気味な油,何に使うのかいなと思うのだが,どうも,医者…
彼女は「スネーク」と呼ばれる,うら若き蛇使いの治療師。「草」は,赤んぼうの指の太さしかないかわいらしい蛇。「砂」は,ガラガラ蛇。「霧」は,コブラ。「草」は,死から病人を守る役割を,「砂」と「霧」は,病気を治癒させる抗体を生み出す力がある。…
そう,わたしはあのころ,変っていました。でもいつまでも風変わりでいるというのは,並たいていではないのですよ。眼を閉じて,両手をできるだけ広くのばしてみる,自分ではしっかりのばしているつもりでも,少しずつ,少しずつ,下っていくものなの。
酔いどれのフル博士は,落ちぶれたスラム街の無免許医師。飲みつぶれたある日の朝,目が覚めると,部屋の中に黒い医療用カバンがあるのに気がつく。これは,まさに魔法のカバンだった。医療用具一式と薬物管。縦欄に諸組織の概約のリスト,横欄に症状のリス…
死者にとって,森羅万象はすべて絵空事だということを覚えておけ。彼らにとって本物はない,特に大切なものはなにもないのだ。なんでも悪ふざけのようなもの,そう,ただの悪ふざけだ。
原題Livimg Willとは,「尊厳死宣言」のこと。主人公ローマンは,コンピューターに,自分に関するあらゆることを伝え,コンピューターは,無尽蔵のデータ・ベースをバックに,ローマンの伝える情報とその背景となる可能な限りのデータを読み取り,蓄積・統合…
「月」生まれの宇宙船乗りロール・ファーランドは,小惑星セレスから出航する大型貨物宇宙船の乗組員となるチャンスを得るため,臨時雇いの二級航天士として,ボー・マッキノン船長率いるコメット号!に乗り込み,セレスへと向かうこととなった。ボー・マッ…
―そのとき六時きっかりになり,とたんに彼は種々雑多な音の洪水に包まれた。クリスタルをはじいているようなかぼそいチャイム音,深い鐘の音に,やわらかく反響する銅鑼の音,そしてそれに張りあう,さえずり声,口笛のような音,鳥の声がつかのまの幻想曲を…
テレシアターの名優であったニコラス・ヘイズ。しかし,酒がもとで,舞台をしくじり,とうとうお払い箱となってやってきたのは辺境の惑星。彼は,犬のような不思議な生物ドッゴーンと,彼の崇拝者である女性モイラに出会う。
筒井康隆編集の現代恐怖小説アンソロジー「異形の白昼」の中の一編。 筒井氏が,不朽の名作と称える作品であり,大いに期待して読んだのであるが,激賞に違わぬ名品であった。 舞台は,霧深い北国の首都(ロンドン)。 石造りの家に暮らす,主人公の石山とその…
ここ数年,ネパールはカトマンズゥに滞在するジョージ・ファーガスン。 ホテルにたまっていた他人宛の手紙を読んだことから,話は始まる。 差出人のネイサンなる青年が,なんと,イエティ!に出くわしていたのだ。 しかも,そのイエティから,首飾りを贈られ…
(続き) さて,人為的な知性向上に伴う悲劇というテーマは,「アルジャーノンに花束を」を思い起こさせるものだ。 「アルジャーノン…」は,「愛」のない「知性」の無意味さを訴える。 「シリウス」でも,「愛」と「知性」の両立について考察しているが,大き…
明けましておめでとうございます。 本年もよろしくお願いします。 さて,本年は,戌年ということで,犬にまつわるSF短編をと思ったのですが,定番たるエリスンの「少年と犬」は,正月にはふさわしくありまへんので,少々宗旨替えをし,長編の犬SFでいき…