テッド・チャン

ソフトウェア・オブジェクトのライフサイクル〜テッド・チャン⑤

短編作家であるチャンにとって、短い長編並みのボリュームのある本編は、最長の作品となります。 仮想環境で生きているディジタル生物〜ディジエントを養育するという、ブルー・ガンマ社のプロジェクトの試みから物語は始まり、ディジエントが様々な人間と関…

顔の美醜について~テッド・チャン④

「その根深い社会問題とは、ルッキズム、すなわち容貌差別です。 ここ数十年で、人種差別や性差別に関する議論は活発になりましたが、容貌差別についてはまだ遠慮があるようです。 けれども、恵まれない顔立ちの人びとに対する偏見は、信じられないほど広ま…

商人と錬金術師の門~テッド・チャン③

過去と未来はおなじものであり,わたしたちにはどちらも変えられず,ただ,もっとよく知ることができるだけ 「千夜一夜物語」的フレームを借りて,過去・未来へと行くことのできる「歳月の門」を利用したお話が織り成されます。 主人公アッバスは,バグダッ…

地獄とは神の不在なり~テッド・チャン②

天使の降臨が現実の現象として発生し,それがために生起する数々の奇蹟と理不尽な災難。 “神の御業”を体験した人々は,一層信仰を深めるグループと,少数派ではあったが信仰に背を向けるグループとが存在した。 主人公ニールは,最愛の妻セイラが,天使ナタ…

バビロンの塔~テッド・チャン①

巨大な円柱のふもとで,小さなバビロンの都が影に包まれている。やがてその影が,上に向かってひらく天蓋のように,塔をよじ登ってきた。