怪奇・幻想系

ゴーゴリの妻~トンマーゾ・ランドルフィ

この私にあるのだろうか?忘れがたきわが友自身,世間からひたすら隠しつづけた秘密,広く知らしめたところで悪意と愚劣さにみちた曲解を誘発するばかりにちがいない秘密を明かす権利が?

本邦東西朝縁起覚書~小松左京

五百年の歴史は問うまい。されど,本邦未だ皇位を保つならば,南朝正統にして,まことの神器を持す朕こそは,まことの帝たるは当然のこと,既往はあえてとわずとも,現帝ただちに退位して,朕をして,大日本国正統第102代天皇の御高座につかしめよ!

告解室にて~アメリア・B・エドワーズ

「告解室の中に」牧師はそう復唱し,一瞬息を呑んだ。「見たのですか,告解室に誰かいるのを」

ゴーサム・カフェで昼食を~スティーヴン・キング②

その犬をここに連れてくるんじゃない!その犬をここに連れてきちゃいけないと,いったいなんどいったらわかるんだ!きいいいいいいっ!

オレンジは苦悩,ブルーは狂気~デイヴィッド・マレル

無名のまま,貧窮の中で亡くなった伝説の画家,ファン・ドールン。 彼の創造した肖像画や風景画は,従来の絵とはあまりにもかけはなれており,あまりにも革新的であった。 そのため,彼の生きた時代の人々,評論家にさえ認められず,その挫折がノイローゼを…

蠅~ジョルジュ・ランジュラン①

先日,わが子供たちが,「ケロロ軍曹」なるものを食い入るように見ておりまして,何がそこまで彼らを惹きつけるのかと覗いてみると,物質転送機のネタで,ケロロさんが,知らずにいっしょに入ってしまった“蚊”と融合してしまうという内容でありました。 子供…

メエルストロムの旋渦~エドガー・アラン・ポオ①

北緯68度,淋しいノルウェイはロフォデン地方の近海で発生する大渦巻。 この物語は,未曾有の嵐に巻き込まれ,それがために生まれた巨大渦巻に飲み込まれながらも辛うじて生還した漁師の体験談であります。 私の読んだのは,新潮文庫「黒猫・黄金蟲」(佐々…

霧~スティーヴン・キング①

7月19日のその夜,メイン州西部の全域がかつてない激しい嵐に見舞われた後,濃霧が町を覆いつくします。 誰も経験したことがない忌まわしい濃霧。 霧の中から,何か得体の知れないものが,人々を狩りはじめます…。 スティーヴン・キング。 いわずと知れた…

バーナム博物館~スティーヴン・ミルハウザー

バーナム博物館には,いくつ部屋があるのか,考えれば考えるほどわからなくなってきます。 迷宮のごとく,全容の判然としない摩訶不思議な空間。 人魚の池,空飛ぶ絨緞,透明人間の森…夢・物語の世界がここにはあります。 学術的価値のあるものの展示という…

筋肉男のハロウィーン~レイ・ブラッドベリ①

ほれぼれするような肉体をもち,毎晩,一人黙々と筋力トレーニングに励む30男。本も新聞も読まず,ラジオもレコードも聞かない。

最後のクラス写真~ダン・シモンズ①

初老の女教師が,押し寄せてくる死者の群れを撃退するというスプラッター・ホラーでありながら,生徒への無条件の愛情と教職の尊さに感動を呼び起こさせる話でもあるといえば,訳わかりませんよねえ。それを力技で結びつけたのが,この作品である。

夜襲部隊~ロバート・R・マキャモン

アラバマ州南部,州間高速道路沿いの辺鄙な場所に見える看板―<ビッグ・ボブの店!給油とお食事>。 その晩は,トルネード警報が出ており,雨がたたきつけ,雷鳴が轟く,大荒れの天候。 主人のボビーとウェイトレスのシェリル,常連のアラバマ警察のデニス,…

犬油

作者は,「悪魔の辞典」のアンブローズ・ビアス。数ある短編の中でも,際立って異様な作品が,この「犬油」である。主人公の父親は,大釜で犬を煮て,その油を採取することを生業としている。こんな不気味な油,何に使うのかいなと思うのだが,どうも,医者…

長い暗い冬~曾野綾子

筒井康隆編集の現代恐怖小説アンソロジー「異形の白昼」の中の一編。 筒井氏が,不朽の名作と称える作品であり,大いに期待して読んだのであるが,激賞に違わぬ名品であった。 舞台は,霧深い北国の首都(ロンドン)。 石造りの家に暮らす,主人公の石山とその…