接触汚染~キャサリン・マクレイン②

 36光年をかけて地球型惑星に到着した探検隊の一行。
 彼らの前にひょっこり現われたのは,なんと浅黒く,筋骨たくましい,背の高いハンサムな男パッド。

 聞けば,かつての植民の末裔とのことだが,この惑星の風土病により残ったのは彼の一族だけであったとのこと。したがって,みんな同じ顔立ちをしている。

 男性としての魅力にあふれるパッドの出現により探検隊の男女関係に波風が立ち始める。
 植民を予定して探検隊は,男女ペアで構成されていたのだからややこしい。

 そんな中,探検隊の男たちに奇妙な病気が発生してしまう。
 厳重な防疫システムをかいくぐり,パッドの有する風土病に感染してしまったのだ。
 この風土病は,実は,この惑星に適合するために,パッドの先祖の科学者がとった究極の細胞操作の結果によるものだったのである。

 
 女性SF作家のさきがけの一人であるキャサリン・マクレインの作品。(「雪だるま効果」がユーモアSFの名作として高名)

 問いたいテーマにもっていくための展開が明晰であり,かつ難解ではないところが知的です(彼女が,あの知能指数が上位2%の人しか入会資格のない「メンサ」のメンバーであったということの先入観もありますが。)

 読者に問いたいテーマとは,端的にいえば,「人間にとって,容姿の意味は?」ということであります。

 みんな同じ容姿になれば,容姿のコンプレックスは解消する。
 でも,容姿での優位性をもっていた人にとってはねえ。

 容姿以外での勝負になることが公平といえるのだろうか。
 なかなか興味深い問題です。

 ティプトリーさんだったら,もっと鋭利で痛い物語になっただろうし,フェミニズム系なら,もっと過激な主張になったかもしれませんが,マクレインさんは,トーンが平穏であります。刃を隠しているのかもしれませんが。

 ハヤカワ文庫SF「冷たい方程式」(旧版)収録。

 新版では、オミットされてしまいましたね。