人類は,百以上の種類に広がり,多くの惑星へと版図を拡げていました。
この作品は,人類の起源を探ろうというお話です。
その方法は,ある人種について,先進人種と後進人種との交合可能性に基づく相関関係が,人種の進化してきた方向を示しており,それと,人類拡大に要した時間に対応する星の動きを計算に入れると,人類が宇宙に進出した軌跡が得られ,それを逆にたどると,人類発祥の地に到達できるというわけです。
(そう理解しましたけど,どうなんでしょうか)
調査船には,種類の違う人類4人と,リボン人なるパイロット1人が乗り込んでいます。
人種の間での上位・下位関係が,厳然と存在している様を,作者は厳しい目でとらえています。
また,リボン人のパイロットは,急激に勢力を増す人類に対する不安感と反感,同じ人類といえども異星人交合を何とも思わないことへの侮蔑感に近いものも有していたのです。
目的地であると思われる惑星で,彼らが知ることとなった人類の起源とは何でしょうか…
ハミルトンの「反対進化」と同様,人類の高慢の鼻をへし折るシニカルな話であるが,作品のレベルとえげつなさにおいては,こちらの方が上かなと思います。
人類のしぶとさ,いやらしさ,節操の無さ…,それは,人類の起源たるものに由来していたんですね。
なかなか骨太で,かつ書き込みが豊かな,説得力ある作品です。
理屈付けに気を払い,船内にはびこる害獣という伏線を張るなど,全体に,“律儀”な作風ですが,結末が,おバカなところのミスマッチもなかなかいいですね。
惜しむらくは,翻訳が生硬なところかな。
今ひとつ,意が伝わらない箇所(こちらの理解力の問題はさておいて)が多いのが残念。
新訳を望むところであるといっても,埋もれた作品になっているからなあ。
ハヤカワ文庫SF「冷たい方程式」収録。
※ 新版の「冷たい方程式」には、この作品は入れ替えられているため、旧版でしか読めません。
