フロストとベータ~ロジャー・ゼラズニイ②

 人類がいなくなった遠い未来,地球を整備保全する統治機械ソルコンの下,北半球はフロストと名づけられた機械が,南半球はベータと名づけられた機械がそれぞれ管理していました。

 フロストは,人間に興味を抱き,人間に関して残されたデータの収集を始めます。

 人間は,計測できないものを認識することのできる存在であり,機械は,人間になることはできません。

 この当然の常識にフロストは挑むのですが,データの解析を重ねても,人間のように感じるとは何かをつかむことができませんでした。

 ついに,フロストは,地下深くの凍結していた人間の遺骸から採取した細胞を培養し,人間の肉体を用意し,その白地の脳に,自らの意識のマトリックスを転写する試みを行おうとするのですが。


 機械の人間化というテーマは,アシモフの「バイセンテニアル・マン」が有名ですが,本作品は,雄大でユニークな視点から描かれており,神話的イメージを感じさせるところが特色。

 静かで,美しく,何よりもピュアなお話です。

 ラストも,まことに物語にふさわしいものですね。

 この作品が収録されている「キャメロット最後の守護者」は,「伝道の書に捧げる薔薇」とともに,多くの名作が並ぶお値打ちの短編集であるが,残念ながら絶版の憂き目にあっている。

 最近,「光の王」が復刊されたが,この両短編集も,ぜひ復活してほしいものである。