ジョー・R・ランズデイルのこの作品は極めて暴力的,かつ非良識的で,忘れがたい鮮烈な印象を残す。
暇を持て余している二人のハイスクール生が,退屈しのぎに,犬の死体を車につないで,ひきずり走りはじめるところから,話は進む。どうです,この,何とも胸の悪くなるような出だし。
途中,チンピラに囲まれていた同級生の黒人フットボール選手を助けての逃走劇(これも結果はともかく,やな話です)の後,川沿いの人気のない工場倉庫に迷い込んだのが運のつき。
倉庫から出てきた二人の男は,人を殺すことなど何とも思わない,本物の"悪"だったのである。
彼らにとって世間的良識など問題外,彼らが思い感じることだけが絶対的なこと。
その圧倒的存在感は,ある意味で,世俗を超越した畏怖すべき存在を思わせるものがある。
主人公たちが,全く,彼らのなすがままに,余りにも悲惨な死へと,無抵抗なまま滑り落ちていく様は,余計にその感を強くさせる。
二人の男が,彼らを始末した後に交わす,何とも軽いノリの会話で終わっているのも,この惨事の非現実感を浮き彫りにする。
タブー破りの,えげつなく救いのない展開は,生理的に受け付けない人も多かろう。
イメージ的には,タランティーノ監督の「レザボア・ドッグス」や「パルプ・フィクション」の,あのやりきれない残酷さと共通するような気がする。
「SFマガジン」1990年5月号に掲載。1989年度ブラム・ストーカー賞受賞作。
この号は,スプラッター・パンク特集で,ほかにも,レイ・ガートンの「お仕置き」というSFポルノ(これもなかなかのもの)も掲載されている。
まあまあ,それらのジャンル内では,とりたててどぎついものではないのかもしれないが,SFというジャンルでは,衝撃度が結構きつい。この号は,異端の号ですね。

