キャサドニアのオデッセイ~マイクル・ビショップ②

 前回に引き続きまして,オデッセイと名のつく作品であります(「夜のオデッセイ」というのもあります)。

 惑星キャサドニア―

 人間たちがそこに着陸して最初に行ったことは,エキゾティックで小柄な三本足の原住民を,レーザー・ピストルの出力が続く限り,殺しまくることでした。

 その後,地球からマゼラン雲に向けて送り出された宇宙探索船から,キャサドニアへと調査艇が射出されたが,何か奇妙で変則的な力が,その制御機能を奪い去り,大地へと激突させたのであります。

 物語は,ただ一人生き残ったマリア・ジル・イアンが,ひたすらにキャサドニアの海を目指す中,出会った生物との奇態な関わりを描きます。

 マリア・ジル・イアンが「プラセーロ」と名づけたこの謎の生物。

 この生物は,強烈な念力能力を有していたのです。

 マリアが道連れとなったプラセーロに独白のごとく語った思いを,プラセーロは何とか?しようと,その能力をフル回転させます。

 事故死した夫アーサーへの恋しい思いが,腐乱した死体をプラセーロの念により運ばせてしまいます。

 なかなかショッキングな展開ですが,もっと強烈なものが次に控えています。

 まさに,“驚天動地”そのもののスケールのでかいものですが,一応ネタばれはやめておきます。

 エキゾチックなキャサドニアの情景描写はもちろんのこと,全体として,詩的でスタイリッシュな味わいなのですが,それだけに,価値観をひっくり返すような出来事がより鮮明に感じられます。

 そこらへん,呈示する作者の計算というか,ちょっぴり意地の悪さも出ていて面白いですね。

 ラスト,作者は,この物語に,付加的に説明を加えています。

 作者はこう書いています。

 この物語を奇怪で皮肉な結末のついたラブ・ストーリーと思い込んだまま,あなた(読者)に去っていってもらいたくはない。…

 でも,最後の数ページは,必要だったのでしょうか。

 蛇足なのかどうか,評価が別れそうなところです。

 個人的には,美しい惑星とマリアの純な心と,あまりの不条理な結末との落差に呆然として終わるというのも,よかったのではと思いますが。