往年の名短編集が復刊して,大変,めでたいことだ。
最近,マーティンは,タフの方舟シリーズが2冊出たので,その人気が後押ししたのかもしれない。
集中の注目作は,やはり,「龍と十字架の道」(1980年度ヒューゴー,ローカス短編賞受賞)と「サンドキングス」(同年ヒューゴー,ネビュラ(1979年度),ローカス・ノヴェレット部門受賞)であろう。
この受賞の状況から見ても,当時,飛ぶ鳥を落とす勢いだったのがわかる。ちなみに,オースン・スコット・カードの「無伴奏ソナタ」が,ヒューゴー,ネビュラ両短編部門とも2位にランクしている。
ところで,「龍と十字架の道」は,信仰がらみの話で,そういうことに縁のない私のような者には,どうも,なじめませんね。
その点,「サンドキングス」は,悪趣味ホラーSFとして,安心して読めるし,何よりも,面白いです。作者も,のびやかに,楽しそうに描いているという感じがします。
筋は簡単。サイモン・クレスという,嗜虐趣味を有する男が,「サンドキングス」と称する昆虫型の生物を飼育し,様々な戦いを楽しんでいるうち,彼らがだんだん成長し,エリアを広げ,ついにはクレスの手に負えない状態にまで至る様を描いている。
サンドキングスをちゃんと養えば,礼儀正しい戦士になる。しかし,飢えと責苦を彼らに与えれば…
サンドキングスたちの崇拝の対象たる「神」となるはずであったクレス。
しかし,城砦に彫られた彼の顔が,彼の卑しさそのままを表示していくところなど,洒落た伏線を張っている。
彼らが強大になるにつれ,クレスは,いつの間にやら,食料の運び屋に落ちぶれていく。その食料とは,…人間なんですよね。
ラストは,キッチリ悪趣味で締め。先ほどの,伏線がばっちり決まっている。
まあ,正直言って,トリプル・クラウンを獲得するほどの作品かというと、やや?だけれど,退屈させずに,クライマックスまでもって行く豪腕はたいしたもの。
実は,この手の話,好きなんですよね。
