今日で,ブログ開設から丁度一年立ちました。
最初の記事が,ローレンス・ワット-エヴァンズの「ぼくがハリーズ・バーガー・ショップをやめたいきさつ」でしたので,その続編を紹介します。
ハリー爺さんは,あの少年が,行き先も告げない旅に出てからも,相も変わらず,商売を続けております。
ある日のこと,お客さんが,困り顔をして店にもどってくるなり,ハリー爺さんに,「車がエンジントラブルだ,何とかできないだろうか」と相談するのであります。
駐車場に停めてあるのは,れっきとした空飛ぶ円盤ではないか。
さすがのハリー爺さんも,お手上げだ。
肩をすくめて言うには,
「直せるやつが店に来るかもしれん。いろんな客が来るからな」
「でもさっき…」
「ああ,いや,ここに住んでるやつで直せるのはいないさ。ただ,オレの店はあんたら相手専門でね。それがわかってるからこの店に来たんじゃなかったのか?今夜か,明日か,そのうちこの機械を直せるやつが来るさ」
しばらく,置いておかざるを得なくなった“車”をカモフラージュするために,ハリー爺さんがとった方法は,いったいなんでしょう?
実に軽い短編ですが,何となく静かで,アット・ホームな雰囲気がよろしい。
時間旅行者のほんわりとした哀愁を,ほのぼのとしたユーモア(バカバカしいともいえますが…)が,まあるく,くるんでいるような,そんな物語です。
中西部の田舎の味わいもよろしい。
ちょっとしたシリーズものにできそうな感じがしますね。
それにしても,例の少年は,今頃,どこにいるのでしょうか。
「SFマガジン」1994年9月号掲載。中原尚哉氏訳。