銀河系の惑星への植民をめぐり,戦闘状態となっていた人類とドラコ人。
そんな中,デヴィッヂ中尉と,ドラコ人のジェリバ・シガンとは,空戦の結果,ファインライン第4惑星という,辺境の不毛な惑星へと漂着したのです。
二人は,一時休戦状態で,苛酷な環境のもと,ともに生活するうちに,次第に心が通い合うようになっていきます。
両性具有のドラコ人。
妊娠していたジェリバ・シガンは,子供のザミスを産み,デヴィッヂにザミスを託して死んでいきます。
デヴィッヂは,ザミスの親代わりとなり,ザミスに,ドラコ人としてのアイディンティティをしっかりと伝える役割を果たします。
やがて時が過ぎ,地球とドラコ側との間に,協定が結ばれ,戦闘は終結し,デヴィッヂとザミスは,それぞれ故郷へと戻っていくのですが…
1979年度ネビュラ賞,1980年度ヒューゴー賞,ローカス賞のノヴェラ部門を総なめにした作品であります。
プロ,ファン,マニアがそろって推す作品というわけですが,昔,サンリオSF文庫から出ていた「最新版SFガイドマップ」で,この作品のみならず,ロングイヤーをくそみそにけなしていたので,いったい,どんな作品なんだろうと興味をもっていました。
ガイドいわく,『わが友なる敵』は,未来の戦争を扱った感傷的で安っぽいメロドラマで,戦争の未来像に対する思弁的なアイディアを提示するというより,単にベトナム戦争の記憶によりかかっているに過ぎない。
読んでみて,まあ確かに,そう評価されても…というところはありますね。
故郷に帰ったデヴィッヂもザミスも,対ドラコ人,対地球人への考え方が,周囲の反発を買い,孤独に陥ります。
デヴィッヂは,ドラコ人の惑星へとわたり,精神治療を無理やり受けさせられていたザミスと再会を果たした後,ファインライン第4惑星で,地球人でありながらザミスたち一族の導師的生涯を送るという筋書きとなります。
感動的ではありますが,通俗的で,楽観的すぎるという批判があるのもわかります。
読み心地は大変よいのですが,ご都合主義的な展開と,戦争の愚かさ,平和と共存が理解されない疎外感というものが描かれてはいるものの,エンターテインメントを優先してのことか,どうも薄っぺらさが目についてしまうという感はあります。
陰鬱で,心の暗部を暴く作品が,必ずしもよいとはいえないんですがね。
さきほどの,ガイドマップにより強烈な先入観が刷り込まれてしまっているので,客観的に見えていないかもしれませんのであしからず。
「SF宝石」1980年12月号掲載。安田 均氏訳。