九星系にまたがる版図を誇る連邦の輸送を担うのは,驚異のテレポーテーション能力を有する超能力者たち。
なかでも,最上級の能力を有する者は,ほんの一握り。
ローワンは,その一人として,日々,貴重な物資の転送業務をこなす,ちょっとお天気屋のお嬢さんであります。
こんな途方もない能力を有しながら,彼女は,カリストにある輸送基地から出ることはできない,そんな肉体的?宿命を持っていたのであります。
重要な任務を果たしながらも,孤独と閉塞感を感じる彼女に,ある日,デネブから強烈なテレパシー通信が届きます。
異星人の執拗な攻撃に救助を求める声に,彼女は応えようとするのですが…。
という筋書きで,非常にサクサクと読める物語であります。
デネブの危機に際して,超能力者たちが力を合わせて,“思念エネルギー”をローワンを通じて送り込み,敵方ミサイルを粉砕し,攻撃艦を宇宙の辺地まで吹き飛ばしてしまうという,ヒューマンで,どえらく痛快な展開,閉じ込められた姫君のところに現れるデネブの超能力者は,白馬の騎士ならぬ好青年,そして,ローワンの閉所恐怖症が解決され,後はいうまでもないハッピー・エンド。
ときおり挿入される,小粋なアメリカン・ジョークがダメ押しですね。
まるで,コミックを読んでいるかのような話でして,いわゆる“俗受け”の筋を忠実にたどった作品であるといえましょう。
読んでて,思い起こしたのが,ディレイニーの「スター・ピット」
です。
「スター・ピット」では,超能力者と一般人との途絶の思い,閉じ込められていることへの無力感,どこにも受け入れてもらえない孤独感が全編を貫いているのと比較しまして,この作品の軽さ・気楽さは実に対照的であるなあと。
それにしても,私はどうも,マキャフリイさんの作品になじめないのでありまして,「竜の戦士」も,うーんという感じなんですね。
同じような擬似中世世界なら,ヴァンスさんだと思いますし。
まあ,膨大な作品群のあるマキャフリイさんのこと,ポピュラー度には劣っても、これ以上の作品があるのかもしれません。