「宇宙兵ブルース」で有名なハリイ・ハリスン。
この作品も,軍隊を皮肉る一連の作品の一つである。
銀河系津々浦々から集められた粒よりの人間たち。
600万43名の新入生のうち,栄えある“CCC部隊”の第一期生となれたのは,わずかに87名!
さてその選ばれた卒業生の中でも,主席の“M”と次席の“ゼントルマン・ジャックス”は,ヴァン・ソラックス大佐に緊急招集を受けます。
最新鋭の宇宙超弩級艦に乗り込み,宿敵“ラーシュニク人”の最大基地のあるビルー第二惑星を真っ二つにせよとの命令です。
惑星に向かった彼らの戦艦は,あえなく,破壊消滅してしまいますが,危機一髪脱出した彼らは,首尾よく地下にある敵の本拠にもぐりこむことに成功し,ついに首魁とご対面となるのですが…
CCC部隊―戦闘駱駝部隊(キャメル・コンバット・コー)の驚くべき“落伍率”,これには,深いわけがあったのです。
どんな,えげつなく,おぞましい,訓練課程を設定しても,それに耐え抜く連中は必ず出てくるものです。
そんな危険な連中を始末するためには,決死の任務に駆り出せば片がつくはずなのだが,それさえクリアしてしまう連中であれば,もう始末に終えません。
非人間性に徹することができる“優秀”な軍人,どんな状況にも命令に忠実に従う軍人,そのような軍人たちの属する集団としての軍隊を,極めて皮肉な目で描いている作品であります。
また,“戦友”という,一種,戦争の中での美化されそうな部分でさえも,嫌味なほど,打ち砕いてしまいます。
“ゼントルマン・ジャックス”の仕打ちといったら…。
全体として,ユーモア仕立てで書かれている作品で,お世辞にも,洗練されているとは言いがたいのですが、その無骨さは,野暮ったい旧態依然なスペース・オペラを皮肉っているのに,それをパロった本作品にも、スペース・オペラのダサさが移ってしまったからかもしれません。
でも,この手の作品を書き続けた作者の反骨精神は,見上げたものです。
創元SF文庫「究極のSF」に収録。
ハリイ・ハリスンの異色作で,かつて,「ソイレント・グリーン」という題名で映画化された作品(邦題「人間がいっぱい」)がありますが,人口爆発とその食糧確保の秘密に迫る映画だったことを記憶しています。
筒井康隆氏が,この映画を評して,死体の食料への再利用の秘密を探る主人公が,次第にそのことに肯定的になっていく様を描けば,より恐怖が増しただろうにという趣旨のことを書かれていたのが,記憶に残っています。
