「心のことばが言った。われわれはなぜ、自分で選んだ相手ではなく、稲妻に打たれた相手を愛さなければならないのか?
そしてことばは言った。でも、その相手がきみでよかったよ。チビの王子さま。きみでよかった。」
惑星「ダーバヌー」から、突然、二人の異星人が地球に亡命してきます。
彼らは「ラヴァーバード」と呼ばれ、はかなく美しい姿とふるまいは、あらゆる人が魅了されるほどでした。
実は、ダーバヌーは、地球からの再三の呼びかけにも応えず、交流を断固として拒否しており、ダーバヌーは、この二人の送還を要求します。
その護送の仕事を請け負ったのが、ルーティーズ船長と、その相棒のグランティ。
粗雑な小男ルーティーズとは対照的に、寡黙で、内省的な大男グランティは、宇宙での仕事こそ、唯一安らげる、かけがえのないものでしたが、「ラヴァーバード」たちは、テレパシー能力により、グランティの秘める心の声を知ってしまいます。怒り、絶望したグランティは、「ラヴァーバード」を亡き者にしようとするのですが・・・。
疎外された人々の孤独感と、ささやかな心の拠り所を求める哀切さを描く、スタージョンらしい名品です。
1953年発表ということで、当時は、LGBT等へ寄り添ったこの作品は、大変なバッシングを受けたようです。
掲載紙「Universe」の編集者は、誰もが載せようとしなかったものを載せたことに誇りを持っていたようですが、この時代には相当に覚悟のいることだったのでしょう。
マッカーシズムが吹き荒れ、共産主義に加担するとして、同性愛者を政府機関から解雇するというような動きが、まさに真っ盛りの状態だったのですから。
The "lavender scare" was a moral panic during the mid-20th century about homosexual people in the United States government and their mass dismissal from government service. It contributed to and paralleled the anti-communist campaign known as McCarthyism and the Second Red Scare. Gay men and lesbians were said to be national security risks and communist sympathizers, which led to the call to remove them from state employment. It was thought that gay people were more susceptible to being manipulated, which could pose a threat to the country.
「ラヴァーバード」たちのことを知ったルーティーズの発言が、世間の表の声としてもまかり通っていたということでしょう。
「そういうことか!」ルーティーズは激怒のあまり金切り声をあげた。
「おれたちはいままでずっと、くそったれなおかま野郎どもを運ばされたってのか?くそ、そうと知ってりゃ、おれがこの手で息の根を止めたのに!」
SFとしての設定は、いろいろと強引なところはありますが、それぞれに、ストーリーを支える素材として、上手く結びつきながら、機能しています。
ダーバヌー人と地球人との「ファーストコンタクト」は、異端者同士、誰知れず密やかに行われたことになります。
地球以外の種族にも同じ境遇の人がいることを知ったこと、そして互いを理解することができたことは、報われない愛に生きるグランティにとっては、わずかながらも、孤独が癒されたのではないかと思います。
