リプレイ~ケン・グリムウッド

 最近?のタイムトラベルものでも出色ものとの評判により買っておいたものですが、ずっと積読状態で,先ほど一気読みしたところです。

 裏表紙のあらすじを読むと,何か甘そうな雰囲気がいたしましてちょっと敬遠していた節もあるのですが,いやいや,それなりにほろ苦くも前向きないいストーリーでしたね。

 1988年に心臓麻痺で死亡した主人公は,目覚めるとそこは25年前であることに気づきます。記憶を有したまま過去へと戻った主人公は,やり直しの人生に挑もうとし,元とは異なる一生を送りますが,やはり1988年に死亡,25年前の世界へと連れ去られてしまいます。そしてまた…。

 救いかそうでないか,主人公は,やり直しの人生の複数回を含めて,すべての記憶を有しています。また,同じ境遇にいるパメラという女性と知り合い,何回かのリプレイを通じて,二人は互いにかけがえのない存在となっていきます。

 ここらへんのアイデアは,おなじみのものでして,本ブログでの短編で言えば,マッキントッシュの「第10時ラウンド」,バズビイの「ここがウィネトカならきみはジュディ」,そしてソムトウ・スチャリトクルの「しばし天の祝福より遠ざかり」(ほぼアイデア同一!)なんかが思い浮かぶところです。

 この怪現象の理由は明らかにされません(謎の宇宙人説に迷い込んでしまうのではと危惧しましたが,それは無事回避されます。)が,だんだんリプレイの期間が短くなっていくところがミソです。

 様々な蓋然性の人生を繰り返し,よりよい「過去」を求める主人公ですが,報われない挫折感が広がり,修復するチャンスの期間も少なくなる,クライマックスに向けての展開に読み手も引き込まれてしまいます。

 さてさて,いくらこねくり回しても,過去はやっぱり振り返ってもしょうがない,やはり未来にこそ意味はあるのだというラストは,ごもっとも。

 それを体感するための艱難辛苦であったのであれば,無駄ではなかったということですかね。

 魅力的な女性が3人登場いたしますが,さて,未来での折り合いはどうつけていくのでしょうか。みんな素敵だしなあ。