臓器売買事件、過去の移植も調査へ 患者同意書なし(朝日新聞) - goo ニュース
今回は,臓器移植に関するSF短編(というか,詩かもしれない)です。
タイトルもダイレクトに,「適合する臓器提供者を求めて」(Seeking a Suitable Donor)
シュールな味わいですが,なにゆえか,心に響くのが不思議な作品です。
いまではわかる
ゆうべ
私の心臓は
打っていた そして梱包ケースを叩き閉じていた
すでにあのとき去っていたのだ 想像上で
いまではわかる
ゆうべ
私の心臓は
眠らず横になっていたのだ ほとんど何もない 眠りに就いた家の中で
その喜びと悲しみを棚卸しながら
出だしがこんな感じで,初っ端から挫折しそうな雰囲気なのですが,素知らぬ風で読んでいきましょう。わけわからないながらも,何か,引き付けるものがありませんか?
でも,私には,この作品の抜本的なところが,いまひとつ,わかっておらんのです。
いったい,この主人公は,臓器提供を受ける立場なのか,臓器を提供する立場なのか。
題名などから類推すれば,臓器提供を受ける立場なのでしょうか…。
それとも,自分が交通事故の犠牲になり,臓器を提供することになる宿命というか定めがあったことを描いているのでしょうか。
なんとも異様な作品ですし,また,翻訳の生硬さが,未消化のまま読者に投げているのではないかと思われる部分も多かれど(原文を知らぬため一概にいえませんが),かえってそれが不思議な臨場感,切迫感を出しており効果をあげております。
文の配置も,なかなかこだわりがあるようですしね。
サンリオSF文庫「新しいSF」収録。野口幸夫氏訳。
