喪の山~ロイス・マクマスター・ビジョルド

 惑星バラヤーの貴族の跡取り息子のマイルズ・ヴォルコシガン。

 士官学校を出たばかりの若いマイルズが,ヴォルコシガン国主にして,バラヤー首相の父から,統治地における嬰児殺し事件について,国主の名代として,派遣され,その解決を行うというお話であります。

 長大なシリーズの中の一エピソードを描いたものですが,ヒューゴー賞ネビュラ賞ノヴェラ部門の受賞作ということなので,一度読んでみることとした。
(BOOK OFFで105円であったのも大きな理由)

 ざっと,ひととおり読んだだけではありますが,感想としては,「うーん…」という感じかな。

 確かに,マイルズが,一見,この手のヒーローとは異なる人物造形がされていること(小男で,骨格に異状があるのだ),コンプレックスをもち,悩みながらも,それを乗り越えていく不屈の姿という設定は,新味があるとともに,感情移入しやすいところはありましょう。

 それはそれとして,この作品は,嬰児殺しの犯人は誰かという謎解きとともに,統治地の後進性,すなわち,障害をもって生まれたものへの重い偏見に対するマイルズの挑戦という構図になっている。

 というか,謎解きとしては,もう一つであるため,その環境的な側面を加えないと,物語としての厚みが出てこないというような気がします。

 それにしても,とてもよく効く自白薬による最終的な解決というのは,どうも,いただけないですね。

 状況証拠だけでなく,物証を積み重ね,犯人をあぶり出していくという謎解きの醍醐味が,えらく薄められてしまうのではないかなあ。

 犯人探しの苦労というものが,切実なものとして響きませんしね。

 それはともかくも,犯人に,罪一等を減じるマイルズの名判官ぶり,教育の芽を育てようという姿,ちょっと理想化されているきらいはあるものの,葛藤しながらも,着実に,統治者への道を進むマイルズを応援しようという読者は多いのでしょう。

 この一作で判断するわけではないのですが,あんまり私の肌に合う作風じゃないかもね。(あくまで個人的感想ですのであしからず)