101号線の決闘~ハーラン・エリスン③

 車による決闘といえば,マシスンの「激突」と,エリスンのこの作品が有名どころですね。

 筋は単純。

 ハイウェイで若造に無理な追越をかけられた中年?ドライバーが憤然としてサシの勝負を挑みます。

 ただし、ただの車じゃありません。決闘用メカを搭載したハイテク車どうしの決闘。
 まるで,劇画を見ているような,痛快とでもいうべきシーンが駆け抜けていきます。

 非合法かと思いきや,正式な決闘申し入れを行い,管制から正式な許可を得れば,合法な殺し合いなのです。

 おじさん,危うし!
 中年として,おじさんに肩入れしてしまう私であるが,絶体絶命のピンチに,おじさんは起死回生のイッパツ逆転を狙います。


 伊藤典夫氏の訳で,結構,不謹慎で罰当たりな罵倒のセリフが多いが,一番面白いのは,回想シーンで,主人公にレーザー銃の装着を勧めるセールスマンのセリフ。

 「ダイナマイト商品でっせ,ジャクスンさん。こんなすごいやつはちょっとない。(中略)…ラジエーターがエンジン以上に熱くなったら,もうあきまへんからね。ダイナマイトでしょうが!」

 言葉巧みで下世話な商売人の雰囲気は,関西弁がよく似合うというのは,おなじみのパターンじゃねえか…ともいえようが,殺人マシーンをこれだけ軽くセールストークするのはよろしい。

 ところで,この作品の執筆後10年あまりして,実際にハイウェイでの車での銃撃事件が勃発したとき,エリスンは,SFの「洞察力」について各新聞社から取材を受けたそうです。

 彼は,SFなんぞタブロイド紙の怪しげな占い師と同じくらいの惨めな的中率だと,いなしているが,キレる連中と,そんな連中を適当にコントロールして,好きに殺し合いをさせている当局のいわゆる“自己責任”の論理などは,深読みせずとも考えさせるものがあります。