西暦9000年ごろ,人類は星間飛行の切り札的“平面航法”を見出し,構成間宇宙へと,その版図を拡げようとしていた。
ところが,この平面航法にも,思いがけぬ難敵が存在していたのであります。
二次元空間に突入した宇宙船に襲いかかり,船内の乗員を発狂させる憎悪に満ちた植えた渦動…人々は,この存在を“竜”と呼んだ。
この竜から宇宙船を守るのが“ピンライター”。
テレパスであるピンライターは,最強のパートナーである“猫”とチームを組み,小型光子爆弾で,竜を消滅させる恒星間旅行者の守護神として活躍するのであります。
この物語は,ピンライターであるアンダーヒルと,そのパートナーのレイディ・メイとの,いわゆる,“種族”を超えた,恋愛といってもよいほどの深く強い絆を描きます。
SF系“猫”物語においては,ライバーの“ガミッチ”(跳躍者の時空)と並ぶ,著名な作品であります。
猫の持つ,優美さ,ミステリアスさ,しなやかさ,そんな特性を備えた女性となれば,ピンライターならずも,虜となるのも致し方ありますまい。
“補完機構”ものをお読みの方は,猫人間の“ク・メル”を思い起させましょう。
スミスさんも,自宅に多くの猫を飼っていたそうでありますが,猫好きにとっちゃ,たまらない作品でありましょう。
一気呵成ののりのよさ,スミス作品の中でも,躍動感に溢れた作品として,異彩を放っております。なんか,猫好きの情熱が伝わってくるんですね。
私の心に響くのは,次の部分です。
キャプテン・ワオが気にいっているのは,アンダーヒルの人なつっこい感情構造―無意識の思考パターンをつらぬく楽天性とひねくれた遊び心であり,危険に対したときの陽気さなのである。言葉,歴史書,思想,科学―アンダーヒルのうちにあるそうした知識は,キャプテン・ワオの心に反映するイメージを見る限り,すべてガラクタも同然だった。
知性の人というべきスミスさんの,あえての言葉として受け止めてしまいます。いわゆる“実行力”といってしまえば,浅い読み方でしょうが,実行を伴っての知性の意義を感じさせるところであります。
いや,何度読んでも飽きない作品です。
