溺れた巨人~J.G.バラード①

 今年のペナントレースのようなタイトルであるが,いわずと知れたJ.G.バラードの作品である。

 このお方の作品には,”濃縮小説”など訳わからないものが多いが,この作品は,浜辺に漂着した巨人の死体が解体され次第に人々の記憶からも消し去られていく様を,実に淡々と描いたもので,読むのに苦労する作品では全くない。

 でもねえ,何を言わんとしているのかを考えてしまうんだなあ。

 この巨人は一体何者なのか,何でこんなところに漂着してきたのか,そういうところには,作者の関心は全然ない。

 死体に群がり,部分を持ち去り,あまつさえ肥料にしようかという人々の行動に,焦点を向けているわけでもなさそうだ。

 ところが,とり みき氏の「SF大将」を見て,目からうろこが落ちた気がした。
 浜辺に横たわる巨人が,”バカボンのパパ”に描かれていたのである。

 知的な人々の高邁な評論を笑い飛ばすかのような馬鹿馬鹿しさが,意外にもこの作品の本質を突いているような気がするのである。

 巨人がただ崩れ去る様を,無理からに意味づけすることなく感覚としてとらえればよい。

 実にインパクトのある漫画である。本作品とセットで読んでみてください。