御者座星系の惑星エスザア。
ここには,エスザアンというヒューマノイド種がおり,彼らのうちにフレニと呼ばれる奥地遊牧民族がいました。
その地へ,人類認定調査にやってきた認定官イアン。
以前,とある生物学者がこの惑星を訪れた際に,大きな爆発事故を起こしたということで,しばし調査は自粛されていたという経緯がありました。
エスザアンは,見た目も人間そのもの。
ただ,エスザアンは大柄で,フレニは小柄。フレニは都市を離れた集落に隔離されており,エスザアンは彼らを忌み嫌っている様子。
イアンは,調査を進めるが,なぜか,核心のところでの協力を得られません。
あるとき,イアンは,猫に似た土着生物の奇怪な繁殖を目の当たりにし,エスザアンとフレニの驚くべき関係を知ることとなるですだが・・・
ティプトリーの初期短編で,なかなかにインパクトのある生物SF!という感じの作品であります。
読んでいて,昔の「生物」の勉強を思い出しました。
シダの繁殖方法で,「前葉体」というものがありましたね。
彼らの特異な繁殖方法という素材をフルに活用して,フレニの男女が,純粋に男性的,女性的であり極めて魅力的であること,彼らどうしがどうしようもなく引き付けられること,受精すると速やかに老化してしまうこと,そして,さらに,人類とフラニとの交雑は可能なのか等々とアイデアが広がっていきます。
ここいらへんは,ファーマーの「恋人たち」のような強烈な隔絶感という新鮮さがあります。
もちろん,ティプトリーさんだけに,簡単に感傷に流されることはありません。
エスザアンが根源的にフラニを憎み,自らをも憎むがゆえの狂気じみた行動へと走っていく姿,人類の何でもありの性衝動に至るまで,相変わらずテンションの高い,切羽詰った,きついストーリーです。どの作品も密度濃いですね。
それにしても印象に残ったのは,人類がどうかの判定についての会話。
「…人間であるということはそんな漠然としたものではないんだ。それはつまるところ厳しい現実的な一点にしぼられる。相互の生殖能力だよ!」
身も蓋もありません・・・。
ハヤカワ文庫SF「老いたる霊長類の星への賛歌」収録。友枝康子氏訳。
