星~アーサー・C・クラーク①

 超新星の探査に向かった調査船。

 彼らは,爆発による消滅をかろうじて免れた惑星を発見し,その地下に,超新星となった恒星系に存在した知的種族の膨大な遺物が残されているのを知る。

 まだ,恒星間航行の技術を手にしていなかったこの種族は,存在の証を残し,いつの日か,別の知的種族がそれを知ることを願いつつ,滅び去ったのである。

 主人公は,科学者でありながら,イエズス会士でもある。

 科学と宗教という取り合わせに,他の乗組員たちからは,議論を吹っかけられることもあった。

 でも,乗組員たちにも,神を信じるかどうかは別としても,神のなさることに対する,漠然とした信仰とまではいわないにしろ,ある程度の信頼のようなものはあったであろう。

 しかし今,調査を終えて地球への帰路につく乗組員たちはみな寡黙になっていた。

 邪悪な,理解しがたいような種族ならいざしらず,残された記録から知る限りでは,突然の滅びを宿命づけられるような種族ではなかったからだ。

 主人公ですら,神の御心は計り知れないもの,それをとやかくいうことは冒瀆であるという信念が揺らいでいる。
 
 この超新星の爆発の日時は,その惑星における記録により正確に割り出すことができる。
 それは,キリスト生誕のときに,ベツヘレムの空に煌々と輝いていたのである。

 海外ものは,頻繁に,宗教がらみの話が出てくる。

 それだけ,キリスト教が日常的,普遍的なものであるのだろうが,いかんせん,こちらは,信仰心の薄い不心得者であるため,なかなか,そういう基盤を共有していないといううらみがある。

 そういうわけで,諸行無常が精神的風土である日本人(もちろん一概には言えませんが)にとっては,この種の絶望感は今ひとつピンとこないのではないかという気がする。

 ところで,恥ずかしながら,「ベツヘレムの星」が何を意味するか,知りませんでした。クリスマス・ツリーのてっぺんに飾られる星らしいですね。

 1956年ヒューゴー賞短編部門受賞作。
 ハヤカワ・SF・シリーズ「ヒューゴー賞傑作選№1」、「90億の神の御名(ザ・ベスト・オブ・アーサー・C・クラーク2)」収録。