絶世の美女の肉体に電極で接続された娘P・バーク。
接続している間は,醜い容姿を捨てて,デルフィという存在に同化することができる。
デルフィは広告塔。
広告が極端に制限されたこの時代,最も広告効果をあげることとは,カリスマ的人物がその商品を使用するところを,ホロビジョンで大々的に放映することである。
その覇権を握ろうというのが,GTX(グローバル・トランスミッション・コーポレーション)。
このプロジェクトを立ち上げ,P・バークとの“接続契約”を結びます。
ともかくも,お互いの思惑は一致,P・バークは見事に接続に適応していきます。
爆発的人気を得るようになるデルフィ。
その彼女と恋仲になるのが,皮肉にも,GTXの御曹司,ポール・アイシャムⅢ世。さて,この成り行きは…。
ということで,ティプトリーの名高い作品です。
“接続された女”(The Girl Who Was Plugged in)とは,実に非人間的な響きを帯びたいいタイトルです。
饒舌で、偽悪的ともいえる語り節にのせて進む物語は,なんとも“痛い”限りです。
主人公の自尊心も何も踏みにじるがごときえげつない仕打ち。でも,そこに唯一の居場所を見つけるP・バークの哀れさ,やるせなさは,格別なものがあります。
デルフィを救おうと,“勘違い”したポールが,GTXの研究所に乗り込み,P・バークと対面する場面が圧巻です。
「ポールあたしのポール!」愛の声がしわがれたさけびをあげ,愛の腕がさしのべられる。
そしてポールは―
オタクだってそうするよな,痩せさらばえたすっ裸の女ゴーレム,体じゅうから電線を生やし,血を噴きだしたそいつが,金属の爪をふりかざして近づいてきたらさ―。
P・バークが息絶えたところで,GTXは,しょうがない,また,新たに“脳みそ”となる娘を探し出すだけ。
おやじに批判的だったポール君も,すっかり改心し,GTXの有能な幹部へと。
全編にわたり,破壊的な情動がほとばしっております。
フェミニズムの視点,商業主義への批判等々,やわな解釈などは飲み込んでしまわれそうな波高き作品です。
1974年度ヒューゴー賞ノヴェラ部門受賞作
(蛇足)とり みき氏の漫画「SF大将」の一篇「接続された女」は、この作品へのオマージュ?であり、脱力感あふれる、おバカなインパクトが強烈な逸品です。原作とは全然違うじゃないかと言われればその通りなのですが・・・。

