影が行く~ジョン・W・キャンベル・ジュニア

 創元SF文庫のホラーSF傑作選「影が行く」のタイトルナンバーである。

 ジョン・カーペンター監督の名作「遊星からの物体X」は,原作に忠実だったんだねえ。

 ともかくも,オールタイムベスト級の傑作。

 1938年の作品だそうだが,今でも十分通用する。

 南極探検隊と恐るべき擬態能力の異星人との息詰まる戦いを、スリルとサスペンスたっぷり(なんとも紋切り調ですが・・・)に描く。

 一体誰が乗っ取られているのだろうか?

 異様な緊張感が徐々に高まってゆき,隊員全員がそろって人間か異星人かのテストを行う場面でピークを迎える。

 ところで,山場の一つに,血清テストの場面がある。理詰めの人は,クリアーに理解されるのだろうが,今まで,流れの筋だけで,ぼーっと読んでいただけなので,今回,ちょっと念入りに読んでみた。

 犬に,カッパー医師とギャリー隊長の血液を抗原として与え,抗体反応をおこさせる血清を作る。コナント隊員が,人間であれば,コナントの血液を血清に入れれば抗体反応がおこるはすだ。無事、ちゃんと反応したので、コナントは人間であると証明された,めでたし。

 でも,カッパー医師は用心深い。念のため異星人の組織を血清に入れたら,また反応!…ということは,カッパー医師かギャリー隊長かが,すでに異星人に同化されているということだ。となれば,コナントが人間のままでも,異星人となっていても,どちらにも血清は反応するので,コナントが人間であるとの証明にはならない。

 カッパー医師に看破されたとはいえ,コナントの正体が判明しないように,すかさず血液提供を申し出たギャリー隊長に扮した異星人もなかなかやるもんだなあ。

 カッパー医師はヒステリックに笑う。カッパー医師もギャリー隊長もコナント隊員もすべて異星人に同化されていてもテストのつじつまはあうと。なるほど。

 いずれにせよ,この血清は,人間以外の家畜が異星人に同化されているかのテストには使える。この血清は,異星人の組織に反応したわけだから。

 これでよいのかな?認知力が日に日に衰えているので、こういうロジックがすっと頭に入ってこないのがつらいですね。

 でも,血清テスト後の,マクレディ隊員とヴァン・オール隊員との会話で,「人間の血にも反応するから,二人とも怪物じゃない。」といって,カッパー医師もギャリー隊長も人間じゃないかというくだりは,ちょっと解せないのであるが。

 それと,犬がすでに異星人に同化されていたとすれば,血清テストの意味は,変わってくるのかな。