大当りの年~ロバート・A・ハインライン

 クラーク,アシモフと続けばということで,ハインラインのペシミスティックな「大当りの年…The Year of Jackpot」を。

 若い女が,路上で何ゆえか素っ裸になってしまうという,おかしな出だしで始まる。

 主人公のブリーンは,数学好きな事業コンサルタント

 統計分析の得意な彼は,いろんな事象が周期を持っていること,さらにこれらのデータ群を総括すると大きな三つの周期となり,それらが谷ですべて重なり合うのが,1962年,まさに大当りの年になることに気づく。

 公序良俗を覆すような流行や事件の発生。制御の効かない狂ったような世間の動きも,そのまま破滅への終点に向かっているのでは。

 物語の後半は,自然現象,社会現象の大変動が地球的スケールで発生し,事態は坂を転げ落ちるように悪化していく。あまつさえ,核ミサイルの応酬さえ起こる始末だ。最悪の谷底から,再び,上向くことができるのだろうか。

 しかしながら,太陽に巨大な黒点が現れるという,もうおしまいという結末になってしまうのである。

 主人公が,試練に立ち向かう雄々しきスピリットを有するわけでもなく,運命論的終末に傍観者的あきらめを漂わせているのも,ハインライン作品の主人公としては異色。
 まあ,その分,鼻につくところも少ないとはいえますが。

 ブリーンが,黒点の次第に広がる夕日を見ながら,激しい悲しみをこめて,彼女の手をにぎるラストシーン。リチャード・マシスン「終わりの日」とも似ています。


 講談社文庫「破滅の日―海外SF傑作選―」収録。