1973年10月と11月にわたり,合衆国中西部において,未曾有の地殻変動が発生した。
8つの州のほぼ全域と,他の12州の一部とが,北アメリカ大陸の中央部から,あっさりと,永久に消えてしまったのだ。
この大陥没の後には,地中海の3分の2の長さを持つ巨大な内海,“ネブラスカ”海が誕生したのであります。
いわゆる「ディザスターもの」に該当するのかもしれませんが,この作品は,ちょっと視点が異なっています。
作者覚書によれば,作者のアラン・ダンジグはかなりの“地図マニア”であるとのこと。
「こんな“内海”ができたらなあ」という発想から生まれたシュミレーションといった感じの作品で,自然の脅威に対する悲壮感,無力感とかは,あんまりありません。
試練に直面した人類の姿を描くことに主眼を置いていないので,それを代弁する主人公はいません。
コロラド峡谷沿いに連なる大断層の東側が陥没を始める。
ミズーリ河をはじめとする大河川が陥没の東側の進路を止められ,大地を泥地へと変えていく。
さらに,大断層と直角に生じた亀裂がねじり落ちる形で大地が滑り落ちていき,メキシコ湾からの潮がどっと押し寄せてくる。
言い方は変ですが,こんな天変地異が主人公であるかのように,興味深々で描かれているといった印象を受けます。
だから,ネブラスカ海誕生後の,気候変化や海路交通,産業構造の変化などが,肯定的に書かれているんでしょう。
深刻にならないディザスター作品です。
全般に“素人”くさいところが,かえって新鮮に思えるのかなあ。
地図帳片手に読んでみるのも一興ですが,思ったのは,合衆国中西部の地理については,ほとんど知らないもんだなということです。
テキサス州はまあ別としても,アーカンソー州やオハイオ州,南北ダコタ州,タイトルになっているネブラスカ州などは、ほとんど知りませんよね(ブルース・スプリングスティーンのアルバム・タイトルにあったかな?)。
