オールタイムべストで,いつでも上位にランクされる作品でありながら,アシモフ先生は,これがベストの短編だといわれることに,フクザツな思いがあるとおっしゃる作品である。
6つの太陽を有する惑星ラガシュ。
2049年目ごとに一度の夜が訪れようとしていた。
いま,天にあるのは,赤色矮星のベータのみ。このベータが,ラガシュの月により日蝕が始まるのである。
ラガシュの文明は,周期的に,その最盛期で灰燼に帰していた。誰もが経験したことのない闇への恐怖によるものだったのか。
ついに,ベータの光が失われ,闇に包まれるラガシュ。天を仰ぐ人々は,その光景に打ちのめされる。
天空に,幾千もの星々が強烈な光輝を放って輝き出でたのである。
これから,文明にとっての,真の闇が始まるというラストは,素晴らしいものではあるが,これだけ進歩した種族ならば,なんぞ解決の道を探りだせるはずだという点で,結末の必然性についての説得力がどうもねえと思うのである。
まあ,ほかにも,彼らの知的レベルからすればどうも…という感のある場面や設定はあるのだが,そういうことをあげつらうことは脇において,広漠たる宇宙とそこに煌煌と輝く星々,その永劫と無辺の世界を初めて知ったときの絶望的無力感を共感することのできる,やっぱりいい作品である。
ヴィジュアル的にも,なかなか,美しい。
1941年の作品。
新潮文庫「スターシップ」に収録。

