外宇宙からやってきたデンディ族とトロクスクスト族に、かわるがわる“解放"された地球は、ついには西洋梨型にひしゃげてしまい、空気が大量に流出し、荒廃の極みに陥っていました。
それでも、人類の末裔たちは、乏しい空気を啜り、空き腹を抱え、草むらにしがみつきながら、誇りを持って、子孫に伝承するのです。
「種族として、また惑星として、われわれほど完全に解放された存在はない」と。
宇宙人たちは、特に地球を攻め滅ぼそうとしたわけではありません。
互いの戦争の戦略的基地として地球を利用していたにすぎないのですが、その支配が変わるたびに、人類は、彼をもう一方の宇宙人からの解放者として、かわるがわる、かしずいていたのである。
宇宙人からは、はるかに格下の扱いを受けながら、いじらしいほどの協力を惜しまない人類。
好きなようにされ、ひどい目にあわされながらも、宇宙人の行為になんらかの大義名分を見つけて、自尊心を失うまいとする人類。
ついには蹂躙され、宇宙人たちから見捨てられたに等しい地球に残されながらも、解放をたたえ、子孫に伝える人類の姿は、哀れをとどめるとしかいいようがありません。
圧倒的力の差を背景に、人類が主体性を持てないまま、運命にもて遊ばれる様を無慈悲に描く傑作です。
「非P」も強烈な作品だが,本作品も読んでるうちに,次第に笑えなくなってくる,恐るべき毒のあるユーモア作品であります。
「世界ユーモアSF傑作選2(講談社文庫)」に収録
