寒冷惑星アリヨーナルに適応するように人体改造された猫形態:キャットフォームと呼ばれる人々。
ところが,アリヨーナルが新星爆発により全滅したため,彼らは,居住タンクでの隔離生活を余儀なくされる。
やがて,ジャリーという青年が,仲間に呼びかけて資金を貯め,ある惑星を買い取って改造を施し,彼らの世界を作り出そうと計画する。
ジャリーたちは ,惑星改造機が彼らに適応した環境を作りだすまでの三千年の期間を,交代で冷凍睡眠に入りながら待つ。
その惑星の生物たちは,寒冷化する厳しい環境に対応して進化を進めていったが,惑星改造が彼らを絶滅へと追い込む所業であることについて,ジャリーと恋人のサンザは議論を交わすのである。
時が経過し,ジャリーが“レッド・フォーム”と名づけた生物たちは,知的生物の段階へと歩みつつあった。
サンザとともに彼らの調査に向かったジャリーは,彼らが,巨大な熊のような獲物の狩りを行っているところに遭遇する。ジャリーは劣勢の彼らに加勢するが,そのさなか,最愛のサンザを失ってしまうのである。
それから二世紀半,レッド・フォームたちは,ジャリーを「神」として語り継いできた。知性を有する種族を守るため,ジャリーは,仲間たちに,惑星改造期間を遅らせるように要請するが,受け入れられるはずもない。最後に,ジャリーは大きな選択を行うのである。
知性の芽生えたレッドフォームたちに,彼らの力をはるかに超えたジャリーたちを畏れ,神として崇める気持ちが生まれたことはよくわかる。気まぐれで全能の神。
ただ,ジャリーが強く善なる「けもの退治の神」として彼らの心の拠り所となったことを知った後では,彼が,仲間たちと別れ,レッドフォームと運命を共にする道を選んだとしてもおかしくはない。おそらく,サンザの在りし日の姿もキャットフォームたちの神話に息づいていたのだろう。
おセンチすぎる話ともいえようが,やっぱり感動的。
ゼラズニイの作品の中で,最も愛読している作品である。
ハヤカワSF文庫「伝道の書に捧げる薔薇」に収録。
