前哨~アーサー・C・クラーク④

 「かぐや」さん,月の観測に成功しそうです。
 もしかしたら,裏側に,未知の建造物を発見するかもしれませんね。

 (2007/10/11)

 というわけで,月探査隊が「危の海」を囲む山脈の一つの頂に,ピラミッド型の不可思議な物体を見つけるという,「2001年宇宙の旅」の原型となった,有名な短編であります。

 偶然に目に留めたものを気まぐれに調査してみると,思いもよらなかった事実が明らかになっていくという,時空を超えて読者の視界が拡がる「宇宙感覚」にあふれたお手本のような作品ですね。

 謎解きの楽しさも押さえてありますしね。

 この「ピラミッド」がバリアーで守られており,原子力をもってようやく破壊できたというくだりから,

 宇宙旅行は,あらゆる知的種族が,おそかれ早かれ直面しなければならぬ試練である。それは,まず原子力を征服し,かつそれによる生と死いずれかの選択を切りぬけなければならないという,二重の試練なのだ

 ということで,ピラミッドが種族の成熟度合いを測る物差であったという展開は,なかなかに説得力あるところであります。

 フェルミパラドックスじゃありませんが,科学による力を制御できるほどに人類は賢くなっているのでしょうか。クラークさんは,この短編では,「危機を乗り越えた」としているのですが…。

 さて,「信号機」の役割をもつこのピラミッドから,知的種族発現の知らせを受けた先進種族は,どのような反応をするのでしょう。

 「太陽系最後の日」のように,人類は,仲間として迎えてもらえるのでしょうか,それとも,あえなく抹殺されてしまう,そこまでいかなくとも隷属させられるのか。

 クラークさんは,楽天主義だとは思いますが,この短編の結末は,ちょっと懸念も示しているようで,そこが奥行きが出る効果があってよろしいと思います。