今日も上天気

 アンソロジー・ピースとして高名な作品。

 恐るべき超能力をもつアントニー坊やは,気まぐれで何をしでかすかわからない。人の心を読んで,よかれと思ってやること,ましてや,よかれと思わずやることは,それこそ一大事を引き起こす。

 恐怖すべき痛い目にあった村の人たちは,ひたすら平穏無事を装うことに神経を張り詰める。

 「今日もいい日だ。何一つまずいことはない。」

 抑圧された生活にたえきれずに,キレる奴は,坊やの「ワルモノ」の一声とともに,無残な終りを迎えておしまい。

 こんな村からは,出て行ってしまえばいいじゃないか。
 でも,それができないんですね。

 アントニーが,産声をあげてしでかしたこととは,何ともはや。

 無力感あふれる救いのない結末は最高の切れ味。
 ”It's a Good Life”  いいタイトルだ。

 

 この作品をタイトル・ナンバーとして、2010年に角川文庫から、ひょっこりと出たSF短編傑作選。

 同年に逝去された浅倉久志氏を偲んで、氏による翻訳の定番の名作が揃っており、とてもお買い得な本でした。意外に早く絶版になってしまったようですが。