結婚間近で幸せ一杯のチャーリー。
日曜日の朝5時15分ごろ,釣りの餌になるミミズを掘り出し,つまむあげようとしたところ,ミミズは白い羽をはばたいて,ゆるやかに優雅な螺旋をえがいてゆっくりと舞い上がったのです!
しかも頭の上に小さな金色の輪をかけて。
火曜日の朝8時25分ごろ,老馬を鞭打っている無慈悲な馭者に腹を立てたチャーリーが思わず飛び出したとたん,彼は熱気にあてられ倒れてしまいます。
さらには,木曜日の11時15分ごろ,チャーリーの訪れた博物館の貨幣陳列ケースの中に,突然鴨が出現したのです。
等々,何やら説明のつかない不思議な事態が連続して起きたため、チャーリーは,必死になって,事象の関連性を探ろうとします。
まず,彼は,その周期性を発見しました。不思議な事象は、ちょうど51時間と10分おきに発生するのです。
さらに,本来あるべきものが,どんなものに変わったのでしょう。
ミミズ(Angleworm)⇒Angelworm!
憎悪(Hate)⇒Heat
中国の銀貨(Tael)⇒(小鴨)Teal…
規則性を発見したチャーリーは,次に予測される変異の時刻にあわせて,Haveenの町に足を踏み入れると,予想通り,天国(Heaven)へと現れ出ます。
実は、天国の印刷工場の植字機の磨耗により,チャーリーの一生を記す本が,51時間と10分おきに,「E」が先に落ちてしまっていたのです。
言葉遊びと謎解きの面白さを十分に味わえる異色の作品。ちょっとした推理小説の趣きがあります。
きっと,ミミズのつづりを見ていて,ひらめいた話なのでしょうね。さすがに,ショート・ショートの名手といわれる作者だけあって,一つの着想から実に巧みな物語を作り上げるものだと感心します。
私としては、フレデリック・ブラウンは,「火星人,ゴーホーム!」など,シニカルな作品の方が好みではありますが,この作品の甘いハッピー・エンドは許せますね。
Angelwormでは,暗い結末は似合いません。
創元SF文庫「天使と宇宙船」に収録
⇒2019~2021年にかけて、フレデリック・ブラウンのSF短編全集全4冊が発刊されました。
