以前から、タイトルの異様さに興味があった作品である。
収録されているのは奇想コレクションのスタージョン第二弾の「輝く断片」だが,かなりのハイテンション揃いの各作の中でも,妙にいびつな雰囲気を漂わせる作品だ。
ある日曜の夜,ちんぴらの一団に半殺しの目にあわされている男を助けたフリッツ・リースは自宅に,その男を連れ帰り,妻のアルマにしばらくの期間,看病させる。
フリッツは,普通と違う人間に対して,大変に理解のある”社会復帰プログラムの専門家”であったのである。
アルマが,このルーリオという男に魅かれていくのは,よくあるパターン。
にもかかわらず,フリッツは平然としている。
ルーリオが男じゃないことを知っていたのだ。
フリッツは,舌なめずりをせんばかりに,ルーリオたちのように普通と違う人間が,この社会で生きていくためには、普通にふるまわなくちゃいけないぜと、優位に立った尊大なお説教をたれる。
そのあと,アルマに別れを告げ,去っていくルーリオが,いきなり超現実的な存在となるという,とってつけたような展開がものすごい。
フリッツのような人間への作者の強い嫌悪感と侮蔑を表現する作品なのであろうが,「あなたのルーリオへの助言が,異星人の上陸の手助けになったのよ,あなたにはわからないでしょうね」という物語としての落とし方は,確かに,アクロバチックというか,無理筋というか,大森望氏のいうとおり,目がテンものだが,これが味わいあるともいえるのかもね。
ところで,ハヤカワの異色作家短編集の復刊で,「一角獣・多角獣」も対象という情報が出ている。
実に喜ばしいことだが,「ミドリザルとの情事」と同じように奇妙な題名の「反対側のセックス」がどんな作品か期待している。

