人生に敗れた男コストナー。
ラスヴェガスのカジノでのギャンブルも,有り金はたいて素寒貧。
ポケットに残っていた最後の1ドル銀貨をスロットマシーンに放り込み,レバーを引いた…
ジャックポット!…2000ドルの大当たり!
でも奇妙な並びだ。青い目が3つ並んだジャックポットとは。
コストナーは連続してジャックポットを出し続けます。
支配人室で,コストナーは,そのスロットマシーンにまつわる因縁譚を聞きます。
一人の女が,そのスロットのレバーを引いている最中に心臓発作で息絶えたことを。
チェロキー・インディアンの母と,いきずりのポーランド系労働者の父との間に生まれたその女,マギーは,自らの容姿と肉体を売っていました。
食べるものがないよりマシ,惨めで,情けなく,物も金もなんにも無いよりは!ゴミタメから這い上がり,這い上がり。
彼女は,死のみぎわに,強烈な思念を,スロットマシーンに注ぎ込んでいた。マシーンに魂が閉じ込められていたのです。
マギーは,コストナーに念を送ります。
「あなたを待っていた。あなたが必要なの。わたしを愛して。」
愛した女性に手酷い仕打ちを受け,失意の人生を送るコストナー。それなのに,性懲りもなく,マギーを信じてしまうのです。
だました女が悪いのか,だまされた男が馬鹿なのか。
コストナーのため息が聞こえるような哀感あふれたラストも,見事なものです。
人生に疲れたコストナーの諦観が心に染みますね。
エリスンおなじみの修辞と文体が縦横にめぐるビターな物語は,伊藤典夫氏の翻訳もうまいのでしょう,実にスタイリッシュ。
「SFマガジン 2000年2月号」掲載。

