狂った機械戦士バーサーカー・シリーズで有名なセイバーヘーゲンの1976年の作品です。
長い人工冬眠から目覚めたバートは,「船」から,24人のあかんぼうたちの世話をするように指示されました。異星開拓者の第一世代の親として。
いわゆる,おなじみの世代間宇宙船。
バートは,あかんぼうたちの親代わりとして,年に一日ずつ,彼らと接するのですが,こどもたちは,どんどん成長していき,彼らなりの“社会”を形成していきます。
政治,芸術,スポーツ,宗教,恋愛,学術…,小さな社会ではありますが,人間社会で起こりうる様々の事象が見られます。子供たちは,大人となり,やがて,老年となっていきます。
船の目的を彼らは探ろうとしますが,なかなかつかむことができません。
彼らは,生殖不能であり,最高の質の遺伝子を受けて生まれてきたのではないらしいのです。自らを将来の世代の架け橋的存在と自覚した彼らは,希望を,バートに託すこととなります。
そして,ある日,バートが目覚めたとき,いつもの通路が開かず,全く新しい通路が開いていることに気づきます。
そして,船が,バートに,その本来の使命を伝えるのです。
親代わりのバートが,次第に,学ぶ側に変わっていく。
第一世代である,あのあかんぼうたちは,バートが,本当の親になるための,つまり,異星開拓の真の優秀な第一世代を守り育てるようになるための,ステップというか,捨石的存在であったわけである。
このシビアさは,実に印象的。
選び抜かれた世代のために必要とあらば,犠牲となる存在もやむなしという,酷薄な割り切りが,寒々しいが,恒星間旅行では,これくらいの強い気持ちが必要なんだろうなあ。
私のような凡人は,第一世代に肩入れしてしまいます。自らの役割を結局は甘受せざるを得ないところなど,なんともつらいですよね。
新潮文庫「スペースマン」収録。
