ハードシェル~ディーン・R・クーンツ①

 タフでストイックで決して弱音をはかない刑事フランク・ショウ。

 彼は様々な凶悪事件に果敢に立ち向かい刑事仲間からも“不死身の男”として一目置かれる存在であった。

 そんなフランクが,追いかけるのはスカッグと呼ばれる凶悪犯。

 フランクは,スカッグを広大な倉庫に追い詰めた…と思いきや,スカッグは余裕綽々。俺を捕まえることはできないぜとフランクを挑発する始末。

 静止を命じるフランクに,せせら笑いながら近づくスカッグ。

 やむなく,フランクは,38口径の銃弾を発射,胸にまともに命中し,スカッグはもんどりうって落下…したにもかかわらず,死体は見えず。
 いったい,こいつは?


 渋くてかっこいい刑事の,ハードボイルド風,捕物帳であります。

 話は後半から超自然的なものとなり,スカッグは,人類なぞ興味深い餌食にすぎないと嘯く。

 対するフランクの人類擁護的発言は,やや気恥ずかしい気もしますがね。

 自由自在な体形の変化をこれ見よがしにみせびらかし,フランクを嬲り殺そうとするスカッグ。

 誰しも恐怖に怯えるはずが,フランクは動じない。
 それどころか,久々のしびれるような命のやりとりが終局を迎えつつあることを残念がるような素振りさえ見せるのであります。

 いやいや,まさに,エンターテインメントSFという感じです。
 実に,かっこのいい主人公で、男性としての一つの理想型でもあります。

 物語としては大変面白いのですが,前半の重苦しさを帯びた緊迫感あふれる展開と比較すると,後半は,残念ながらやや平板になってしまっている気もします。

 まあ,超自然的なことを持ち出すと,どうしてもリアルさがどこかへ飛んでいってしまうので,しょうがないとは思いますが。

 それとクーンツさんは,基本的に真面目なんだな,モラルを重んじる人なんだなと思います。

 ラストの言葉が洒落てます。
 「hard-shell」:まさに主題をあらわす言葉です。