類まれなるダンスの才能を持ちながら,ダンサーとしては,大柄で,女性として魅力的な姿態を有するがゆえに,チャンスを与えられなかったシャーラ。
彼女は,重力のしばりから解放されたダンスにすべてをかけようとし,“スターファック”とよばれる巨大な軌道上構造体へと赴きます。
無重力の世界に体が適応すると,再び,1Gの世界へ戻ることが困難になるというリスクを背負いながら。
おりしも,異星人が,この宙域に出没し,非常な緊張状態を迎えていたのでありますが,シャーラは,異星人と,彼女にしかできない方法…ダンスによって,コンタクトを図ろうとするのであります。
1978年度,ヒューゴー,ネビュラ,ローカス三賞ノヴェラ部門を総なめにした作品であります。
シャーラの魅力もさることながら,彼女を取り巻く人物として,かつてスターダンサーだったが不慮の事故により腰を痛めて今はヴィデオ・マンをやっている心優しき皮肉屋の語り手チャーリイ,“スターファック”の使用と引き換えにシャーラを手に入れる大金持ちの実業家キャリントンたちが登場します。
まあ,おわかりのように,大変に,通俗的なキャラが立っているという感じですね。
新しいダンスの創始者として,歴史に名を刻むこととなるシャーラは,命を賭けたダンスで,人間とはどのような存在であるかを異星人たちに,誇り高く知らしめます。
これこそ,人間であるということ,あらゆる行動,あらゆる努力の本質的な,実存的むなしさを見すえ―しかも行動し,努力しつづけること…
この雄々しい人間賛歌を前にして,さすがの異星人もしっぽを巻いて退散という筋書きも,人間中心の楽観主義(ご都合主義)がまことに結構です。
シャーラの英雄的最後もね。
というわけで,なかなか感動的物語ではありますが,ちょいと安手のドラマという気もいたします。
同じダンスの世界を描く「ダンシング・オン・エア」と比較してもね。
