サンディエゴ・ライトフット・スー~トム・リーミイ①

 1977年に42歳の若さで世を去ったトム・リーミイの代表作。

 といっても,サンリオの短編集が高価すぎて持っていないので,この作品とデトワイラー・ボーイしか読んでいないのではあるが。

 ジョン・リーは,カンザス南部の貧村から,ロサンジェルスへと出てきた15歳の類まれなる美貌の少年。

 彼と恋に落ちるのが,45歳のスー。サンディエゴ・ライトフット・スーという綽名の画家であり,美しい娼婦である。

 スーの他愛のない魔法が,<王子様>を招きよせたという設定。

 ジョン・リーは,年の差を超えて,本当にスーのことを愛するようになるのだが,スーは,まだ若さの面影を残す今はともかく,先のことを考えると耐えられない気持ちとなる。

 そんなある日,スーの元愛人とジョン・リーとが出くわし,不慮の事故により,その愛人が命を落とす事件が発生する。

 たとえ,ジョン・リーが無罪となっても,15歳の彼が,再びスーとともに暮らすことなど,できない相談だ。

 スーは再び魔法に手を出し,15歳の時に戻ろうとするのだが…

 いわゆる純愛ものといってもよい作品であるが,取り巻く人々や環境は,世間の裏通りという感じだなあ。ほんとにジョン・リーに親切にしてくれる男たちも,いわゆるお姐さんたちなんですな。

 それらが,逆に,この二人の恋を実にピュアにみせる効果も出しているような気がします。

 猥雑な風俗小説のフレームの中に,このような情緒豊かな物語を編みこむという,不思議な作風だなあ。

 それにしても,これは純然たるファンタジーだと思うけれど,1976年のネビュラ賞ノヴェレット部門を受賞している。やっぱりSFなのかなあ。

 「SFマガジン 1977年9月号」掲載。