外星人,特に彼の主人であるグルームブリッジ星人の全般的な戦略と目的は,ウェイン・ゴールデンという名の被購入者にはよくわからなかった。彼らがなにをしたかを理解するのは,むずかしくない。外星人が地球人と光速無線通信をうちたて,地球で彼らの業務を代行させるために,何人かの既決囚の肉体を買い上げ,彼らにタキオン光速無線受信機をとりつけたことは,全世界が知っている。
ウェインは,複数殺人を行った性犯罪者として,医療刑務所に収監されていたが,外星人の“人買い”がはじまったとき,「ここから出られるためならなんでもいい。たとえ,頭の中に機械をはめこまれ,二度と正常な人生を送れなくなっても」ということで,重症患者がお好みのグルーム・ブリッジ星人に買い取られることとなったのである。
彼らは,必要なときに,好きなようにウェインの肉体を使用します。
もちろん,ウェインには選択の余地はありません。
ただ,グルーム・ブリッジ星人がきまぐれで与えてくれる休日(極端な場合は分単位)だけが,自らの意思で自らの肉体に指図可能なひと時なのです。
ウェインは,同じ境遇の,キャロリンという被購入者に恋焦がれていたのだが,互いに,“素面”であるときに,遭遇することなど,まずありません。
ところが,ある日のこと,ウェインが緊急呼び出しを受けて,“畜舎”にもどったとき,そこには,キャロリンがいるのを見つけます。
これは、また,神様からの贈物かい?
それとも…。
世俗的,かつ,シニカルで,テンポあふれる,いかにも,この作者らしい作品であります。
ほんと,やな話なんですが,このように,“いけず”に徹した作品は,それはそれでまたいいんですよね。
ウェインのような犯罪者に同情の余地なしともいえるのですが,それにしても,こんなに,人としての権利を踏みにじるようなむごい仕打ちはいかがなものでしょう。
ポールさんも人が悪いね。
ラストが泣かせます。
“素面”のときには,手のつけられないような破壊的行動をとるようになるウェインであるが,“制御下”にあるときは,当面の間,十分使用に耐えうるということで使用続行…まあ,ひどい話ですよね。
創元SF文庫「究極のSF」収録。
巻頭を飾るナンバーでもあります。
