他人の心を読むことのできる少女サラ=ジェーン。
そんな彼女の思念を受け入れてくれる“受信者”は誰もいない,たった一人の男マイケルを除いては。
特殊な能力を有するがため,心底孤独だったサラ=ジェーンは,ようやく見つけた“受信者”にすがりつく。
ただし,マイケルは,ろくでなしの男だ。
サラ=ジェーンとの,わずかなコンタクトを許すことをネタにして,彼女の能力を,ポーカーのいかさまに利用しようとするのであります。
何とも幸せ薄い少女ですなあ。
“受信者”を善人とせず,いかがわしいハンサムな遊び人としたところが,ひりりと皮肉が効いてよろしい。
サラ=ジェーンが,少しでも深くコンタクトをとろうとするなら,たちどころに,痛い目にあわせるマイケル。
彼に利用されるだけの存在であっても,“受信者”から離れることのできない彼女の哀れさが胸を打つのが前半。
しかし,後半の展開は,かなりサスペンスフルとなる。
いかさまポーカーがばれて,袋叩きの目にあったマイケルは,瀕死となり,サラ=ジェーンとコンタクトをとろうとする。
もしや,死にゆくことを見越して,サラ=ジェーンの中に入り込もうとするのか。サラ=ジェーンは,コンタクトを拒否するのだが…。
キャディガンらしい,ポップでビートの利いた作品です。
結構陰鬱な話なんだけれど,リズムに乗った流れなので,スムーズに読めてしまいます。
テレパス同士の熾烈な闘いが暗示されていて,後味の悪い終わりになっているのだが,理由が“私怨”というか逆恨みに近いものだから,ほんとしょうがないですね。サラ=ジェーンが気の毒です。
さらりと,しかも,なかなか怖いラストは,秀逸です。
「SFマガジン」1989年5月号掲載。
