原題“Allamagoosa”―辞書に載っていない単語ですが,何のもじりでしょうか。
シリウスの宇宙港に寄港した宇宙船「バスター」号。
艦長マックノートは,船室で寛ぎ,乗組員たちは,すでに街で,飲めや歌えのどんちゃん騒ぎ。
当直交代になれば,マックノートも街へと繰り出すつもり…が,そこへ船舶用品検閲の通知が入ってきます。
検閲に備えて,用品のチェックが始まります。
せっかくの羽を伸ばす機会を取り上げられたかわいそうな連中。
しかも,所在のわからぬ物品が判明します。
「V1098 オフオグ一個」
“offog”?
何だかわからぬまま,適当な代物をでっちあげ,検閲に間に合わせたのはいいのですが,地球に分解検査のために戻ることとなってしまい,ばれたらやばいとばかりに,重力場通過ノ際,重力ノ圧迫ノ下ニ分解シ去ルとしたところ,これがまた,騒動の原因に…
1955年度ヒューゴー賞短編部門受賞作品。
それにしても,大変,ほっこりとした作品ですね。
SF味もあまりありませんしね。
オチも,そう洒落たものでもなし,ユーモア小説といっても,そう洗練されているわけでもないですし。
でも,古き良きノスタルジックな雰囲気に浸れることは確かなのと,船舶用品検閲主任である海軍少将ヴェイン・W・キャシディの、お役所感覚的偏狭さと形式主義は,ちょっと笑ってしまいます。
このおじさんは,死魚のような目をしているらしいのですが,
“ He was a short, paunchy character with a florid complexion and eyes like those of a long-dead fish. ”
英語も同じ表現なんですね。
ハヤカワSFシリーズ「ヒューゴー賞傑作集 No.1」収録。
