さあ,みんなで眠ろう~アヴラム・デイヴィッドスン②

 バーナムの星とは、資源も乏しく経済的に魅力のない惑星。
 この星には、「ヤフー」と呼ばれる原住種族がいました。

 この星を訪れる人間は、無慈悲なヤフー狩りに興じ、彼らの尊厳を蹂躙するような振る舞いを行って恥じることがなかったのである。

 「いいところを見逃さないようにね。ぎりぎりのところでやつらがどう出るか,見ものですよ。蹴りかかるやら砂を投げつけるやら…」情景を頭に描いてか,事務長は笑った。「大粒の涙をこぼして,しまいにはおいおい泣き出すんです」

 そんななか,ハーパーはヤフーたちとコミュニケーションをとることに成功します。

 残虐な人々に追い詰められ,急峻な岩陰にかろうじて逃れていた一族がハーパーの呼びかけに応じます。彼と一族のお婆さんヤフーとのやりとりには胸をつかれるものがあります。

 「お婆さんの乳を飲んだ子たちは,どこにいるの?兄弟たちは,みなを連れてどこに行ったのかね?」老婆は絞り出すような泣き声を一声あげ,それっきり黙った。が,彼女は泣いていた。ハーパーも,もらい泣きをした。

 ハーパーの尽力が実を結んだか,ヤフーたちを別の惑星へと移住させる計画が立てられ,ヤフーたちが信頼するハーパーの説得により,ヤフーたちは宇宙船へと乗り込みます。

 ところが,この計画の裏には,極めて非人道的な医療実験が行われることが隠されていたのです。


 アヴラム・デイヴィッドスンの実にストレートでヒューマニスティックな作品です。

 この作品のインスピレーションとなったのは,新聞の日曜版で,1877年に絶滅したタスマニア原住民の最後の生き残り15人をうつした古い写真だそうであります。

 「ヤフー」とは,ガリバー旅行記の「馬の国」に出てくる,ならず者の人間どものことだそうですね(恥ずかしながら,知りませんでしたが…)。

 原住民を「ヤフー」と呼ぶ連中そのものが,「ヤフー」なんでありましょう。

 生体実験にいそしむ科学者は,自分はそんなことは夢にも思っていないでしょうが。